おめぇ握り寿司が食いてえ

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「血の家」 二十二雫

「・・・・」 「そろそろ、神代の集落の辺りだと思うが...」 安永家の仮宅(かたく)がある山の麓(ふもと)から 車を走らせ、広い田畑を側に 十五分程車を走らせると 征四郎たちの車の周りに ポツポツと民家らしきものが目に入ってくる 「・・・・」 「多少、人…

「血の家」 二十一雫

「しかし、何なんだ、その、 "男"は------?」 「ブロロロロロロロロロロロ...」 総司の屋敷を後にした三人は 山道を善波の車に揺られながら 先程、征四郎が見たと言う "サングラスをした男" について話をしていた 「------さあ」 「何か目的があるのか?」 …

「血の家」 二十雫

「(いない--------、)」 征四郎が、安永の家の玄関から 先程、自分達がいた応接室の窓から 見えていた庭に向かって駆けて行くが... 「(確かに-------....)」 そこには、先程、応接室から 見えていた、 "サングラスとマスクをした男" の姿が忽然(こつぜん)と…

「血の家」 十九雫

「-----帰って来てたのか」 「ああ・・・・」 叶生野荘にある、安永の屋敷に通された 征四郎たちは、簡素な、あまり広くはない 安永の家の応接室に通される 「-----青木。」 「------はい。」 「三人に、茶でもお出ししろ」 「--------」 先程玄関前で、総司…

「血の家」 十八雫

「-----ここだ」 「ガチャ」 「---------、」 「スゴイ、山のなかね」 「ここが、"安永"の家だ」 「・・・・」 尚佐の屋敷から三十分程車を走らせ、 前日訪れた田島の家の傍にある湖を先に抜け 山道を、車を走らせる事十五分程。 「ここが、"安永閥"の屋敷な…

「血の家」 十七雫

「じゃあ、ルーはボクたちとは、 いっしょじゃないってことかい?」 「------ええ。 どうやら昨日話をきいたけど、 ミダイになれる可能性は ワタシにも、この場にいる全員にも あるみたいだから-----、」 「なら、俺達とは別に行動するって事か」 「-----そ…

「血の家」 十六雫

「お食事で御座います-----」 「ガチャ」 「ガタタッ」 「・・・・・」 「どうぞ-----」 「ああ、どうも」 「カタッ」 「こちらを、どうぞ-----」 「・・・ああ。」 「カタッ」 近藤が、後ろに料理が乗せられた台車と 何人かの別の執事を連れながら、 部屋の…

「血の家」 十五雫

「この間の話って-----?」 「・・・・」 「ブロロロロロロロ....」 暗い夜の道を走る車の中で 征四郎は横にいる善波に顔を向ける 「・・・・」 征四郎の話に興味が無いのか、 善波はただ、まっすぐ自分の車の照明に照らされた 先の道路を見つめている 「・…

「血の家」 十四雫

「じゃあっ 田島もっ そのっ "征佐"にはっ 心当たりが無いのかっ!?」 「あ、ああ、ハイ-----。」 「どうする? 征四郎くん?」 目の前に座った、小太りで 目が細い男の返事を聞くと 善波は隣の椅子に座っている 征四郎に目を向ける 「何か、少しでも、 征…

「血の家」 十三雫

「ブロロロロロロ....」 「(・・・・)」 征四郎が、車の助手席から窓の外を覗く 「---------、」 すでに、日も暮れかけ 辺りは赤茶色に染まった湖面と それに沿う様にどこまで続いているか 分からない道路が、 征四郎、そして善波を乗せた車の前に続いている…

「血の家」 十二雫

「じゃあ、雅彦さんも、 "征佐"には心当たりは無いのか----?」 「ええ、少なくとも次の御代に なられる様な方の話は 私もあまり聞いたことが-----」 "カチャ" 「ああ、すいません」 「何も無い場所ですけど よかったら珈琲(コーヒー)でも 如何(いかが)?」 …

「血の家」 十一雫

"ドンッ" 「(--------っ)」 「な、何だ?」 「-----~~~っ」 "ザッ ザッ ザッ ザッ-----...." 善波、そして征四郎が蔦(つた)に覆われた 来宮家の家の玄関から、中に入ろうとすると 目深(まぶか)に帽子を被り、サングラス、 そして、マスクをした男が 来宮…

「血の家」 十雫

「ここが来宮(きのみや)の家だっ!」 「バンッ!」 「(----------、)」 「ザッ」 善波が勢いよく車の扉を閉め、 助手席から降りてきた征四郎に目を向ける 「・・・屋敷が、見えないみたいだが-----」 車から降りて征四郎が門の先を見渡すが 建物らしき物が見…

「血の家」 九雫

「ブロロロロロロロ....」 「しかし、あまり大した事は 分からんかったな!?」 善波が、車のハンドルを握りながら 助手席に座っている征四郎を見る 「--------、」 善波の言葉に何も思うところが無いのか、 征四郎は黙って助手席の窓から見える 叶生野荘の…

「血の家」 八雫

「-----そうか、分かった」 「いえ-----」 「ガチャッ」 ドンッ 「------っ」 突然、征四郎が屋敷のドアを開けると、 そのドアの中から、明人が出てくる 「-----そこを退け。」 「-------!」 明人は、ドアの前に立っている 征四郎を睨みつける 「・・・・」…

「血の家」 七雫

「おお、着いたぞ」 「・・・・・」 尚佐の邸宅から、十五分程車を走らせ 広大な山岳地帯一帯に広がる 叶生野一族が住む、 "叶生野荘" の中を、善波、そして征四郎の二人は、 進んで行く-----、 「・・・・」 征四郎は車の中から、 森や丘の上にあるいくつか…

「血の家」 六雫

「征四郎君は、どうするつもりだ?」 「-----いえ、」 「君は、尤光や正之と一緒に 征佐、を探しに行かないのか----?」 「・・・・」 善波の言葉に、征四郎は部屋の中から、 窓の外へと視線を向ける 「(俺が、"御代"を-----?)」 元々、征四郎の家、鴇与家…

「血の家」 五雫

「----それでは、私は、これにて-----」 「ガチャッ」 近藤は、部屋の中にいる一族の人間に背を向けると 扉を開け部屋から出て行く------ 「・・・・」 後に残された叶生野家の者、 そして征四郎は、尚佐が残した遺言に 口を開かず、その場に立ち尽くしてい…

「血の家」 四雫

「な、何かの間違いなんじゃないのか!?」 「-----いえ」 近藤は、自分の傍に詰め寄って来た 正之から距離を置き、部屋の中の人間を見渡す 「-----征佐何て名前の人間、 この叶生野の家にはいないじゃないか」 「"征佐"様は、 確かに、この叶生野の 人間で…

「血の家」 三雫

「せ、"征佐"------?」 「??」 「そうで御座います-----」 「---------」 「・・・・」 「な、何かの間違いじゃないか」 正之が、目を細めながら近藤を見る 「いえ、確かにこの書簡に書かれた通り----」 「貸せっ」 「------!」 近藤が手にしていた書簡…

「血の家」 二雫

血の家 「-----残念ですが...」 二雫 「お祖父さまが--------」 医者の言葉に、 尚佐の横たわっているベッドの脇にいた 綾音が床に崩れ落ちる 「いきなりだったな...」 「御代(みだい)も今年で90だ。 こうなるのも、 当然と言えば、当然かもしれない」 「(…

「血の家」

「血の家」 一雫(ひとしずく) 「(クククク...知能の浅い奴らだ-----」 鴇与(ときよ)家の三男、征四郎は、 薄暗い館の通路の壁と壁の間に 張り廻(めぐ)らされたピアノ線を見て それが、叶生野(とおの)家の別の家族、 一族の誰かがが仕掛けた 罠だと言う事に気…

「23世紀の恋人」 11の愛

あれから、51年後-----、 「ばあちゃん、それで、 それからどうなったの?」 「----ああ、そうかい?」 「続きを聞かせてよ!」 セゲナが、暖炉の前で膝に毛布を掛けながら 椅子に揺られていると、 セゲナの孫である "ムナムムハツチャカケナミショウ・ シ…

「23世紀の恋人」 10の愛

"ズドンッ!" 岩場の上から舞い上がった "テニス仙人"が反対のコート上にいる セゲナに向かって強烈なスピンが掛かった スマッシュを浴びせる! 【ズドドンツ!】 「(か、"勝て"ない-------)」 「・・・・・」 "ドサッ" そのまま、セゲナは岩だらけの地面に…

「23世紀の恋人」 9つめの愛

「はっ! はっ! はっ! はっ------!」 セゲナは、目の前の山に向かってひた走る! 「("テニス仙人"------)」 "テニス仙人" セゲナの瀬恋愛物質感知器が捉えた信号から その、"テニス仙人"の 存在が浮かび上がってくる---- 「("江戸でも三代続けば老舗だよ"…

「23世紀の恋人」 8つめの愛

「(もしかしたら、ここに-----)」 空に浮かぶ列車の駅で下り、 セゲナはそこから地上まで伸びた エレベーターに30分程乗り、 暗い、夜の駅の前に立つ----- 「おいっ ねぇちゃんっ?」 「・・・・!」 「ちょっと一杯ひっかけねえか!?」 「・・・結構です…

「23世紀の恋人」 7つめの愛

"ガタンッ ガタンッ" "ガタンッ ゴトンッ" 「(アナタは、"誰"なの------?)」 「シュゥゥウウウウウウウウウ」 夜空を走る列車に揺られながら セゲナは、窓の下の景色に目を向ける 「(・・・・・)」 マンホール、井戸----- 「(いない-----)」 波止場、そして…

「23世紀の恋人」 6つめの愛

6つめの愛 「よーし 夏休みだー」 「ふっ!」 「ピピッ!」 教壇の前に立つ講師が こめかみに青筋を立てると、 クラスの全員の頭の中に 講師が発信した電気信号が受信される 「うわー 夏休みだって」 「どっか旅行行く?」 「(・・・・!)」 セゲナの周りの…

「23世紀の恋人」 5つめの愛

「-----シャアッ!?」 「セ、セゲナ!?」 "ズドンッ!" 「・・・・!」 炎天下の中、セゲナはテニスコートの上で 敵の選手と戦っていた---- 「セゲナッ!? -----させないよっ!?」 反対側のコートにいる、試合の相手が 大声を叫びながらセゲナに向かって…

「23世紀の恋人」 4つめの愛

「(感じる-----!)」 自分の机の上に乗せられた恋愛物質探知機を、 セゲナは期待を込めた表情で手に取る! 「スッ----」 「(感じる------)」 「----キテるッ! キテるヨッ!?」 "誰かが、どこかで、私を愛している----" そして、 "どこかで、遠くで-----! 誰か…