「血の家」 九雫
「ブロロロロロロロ....」
「しかし、あまり大した事は
分からんかったな!?」
善波が、車のハンドルを握りながら
助手席に座っている征四郎を見る
「--------、」
善波の言葉に何も思うところが無いのか、
征四郎は黙って助手席の窓から見える
叶生野荘の景色を見渡している------
「一男さんの話だと親父は、
次の御代を俺や尤光にする様な
口振りをしていたが----っ」
「・・・・・」
まるで息継ぎをしていない様な様で喋る
善波の言葉を、征四郎は
窓の外を見ながら耳を傾けている
「近藤が出した遺言書に書かれていたのはっ
"征佐"の事だろうっ!?」
「-----確かに」
「じゃあ、それで、一体なんでっ
尤光や俺じゃなく、
"征佐"がっ 次の御代になるんだっ!?」
"確かにそうかも知れない"
先程訪れた、保瀬家。
「(あの、一男と言う老人は、
話を聞けば、尚佐御大に
最も近い関係で
仕事をしていた筈だ----)」
「一男の爺さんもっ
尚佐祖父さんから話とかは
聞いてなかったのかっ!?」
「(・・・・・)」
だが、今、一男から話を聞いたところによれば、
一男は、次の御代は、今隣に座っている善波か
叶生野家の長女、尤光になると
思っていたと言っていた
「(-------、)」
「おいっ!? 次はっ どこに行くんだっ!?」
「とりあえず、尚佐御大に
生前、ある程度近しい関係を持っていた
人間の所に行くべきかと...」
「-----そうだなっ!」
「ブロロロロッ」
「(-------"征佐"か)」
「ガタッ」
「ガタタッ」
あまり舗装されていない、でこぼこの道を走る
車に揺られながら、征四郎は
この先にの道にある、
来宮(きのみや)家の事を考えていた