「吉田と川越」 22OS
「X-dogに、悪魔か-----」
「・・・・」
ヘルムートが自分の机の前で
何かを喋っているのに、
吉田、川越、佐々木の三人は
黙って耳を傾けている
「-------ヒェッ ヒェッ」
「・・・・?」
「何かおかしい事でもあるのか?」
「いや-------、」
「-------....」
川越が真剣な表情を見せた事に、
ヘルムートの顔も真顔になる
「ウィルの奴が、このMidlertidig hvile
の暗証鍵を教えるくらいだから
よっぽどだと思ったが....」
「・・・・」
「どうやら、お前ら三人には、
ここにいるだけの"理由"が
あるみたいだな------?」
「どう言う意味だ・・・・?」
「・・・・」
"コッ コッ コッ コッ...."
「悪魔、それに、越数学--------、」
「---------、」
ヘルムートが、部屋の中を歩き出したのを見て
吉田は、ヘルムート越しに
部屋の中に視線を向ける....
「今までここに来た連中とお前らはどうやら、
"違い"があるみたいだ-------、」
「------"違い"?」
無意味に部屋の中を歩き回るヘルムートに、
部屋の中にいる三人の顔が強張(こわば)る
「お前らはこれから
どうするつもりだ------?」
「・・・・」
「ただ闇雲に、このV-MONET内を宛ても無く
マルサールの存在を
追って行くつもりなのか・・・?」
「そうするしか無いなら、そうするだけだ」
「-------ヒェッ ヒェッ」
「笑うのか」
「--------いや、」
笑い顔を見せているヘルムートを見て
川越が表情を硬くする
「確かに、その考えは結構だが....
だが、ただ宛ても無くこのV-MONET内を
リンクして行くだけじゃ、
到底マルサールの居場所、
MAA-Й(マージュ)には
辿り着けんぞ・・・?」
「MAA-Й(マージュ)・・・」
「何だ? ソイツは?」
「お前さん、MAA-Й(マージュ)も
知らんのか?」
「・・・・」
佐々木は暗鬱な表情で、自分の足に着けられている
スパイリーの足飾りに目を向ける...
「それで、このV-MONET内の空間を
先へと進んで行くつもりとは...」
ヘルムートは飽きれた様な表情を浮かべ、
再び、壺の脇に置かれていた棒を手に持ち、
壺の中に、棒を回し入れる...