おめぇ握り寿司が食いてえ

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2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「血の家」 四十七雫

「・・・いないか...」 「カチャ」 「カチャ」 征四郎たちが、山奥の集落から 叶生野の屋敷へと戻り応接室へ入ると、 そこには尤光兄妹の姿しか見えない 「(さっきの集落からはすでに雅の姿は 無くなってた筈だが....)」 先程、自分達と一緒に集落を訪れてい…

「血の家」 四十六雫

「どうしたんだ-----! 征四郎くん-----っ!?」 「【ああ、俺だ------、 誰か、ウチの者はいるか-----?】」 「・・・・?」 突然家の外へと出て行った 征四郎の後を追って、善波が門の外へと出る 「【・・・兄さんかっ!?】」 「・・・・」 征四郎を見る…

「血の家」 四十五雫

血の家 四十五雫 「アハハハハッ!」 「ガタッ!」 「な、ナニ------?」 「み、雅-----?」 「まさか------!」 征四郎たちとは別の民家。 「こんな事って------!」 「ど、どうしたの?」 「こんな-------!」 雅が突然大声を張り上げたの聞いて、 別の部…

「血の家」 四十四雫

「見ろ、征四郎くん-----、」 「-----ええ。」 自分達とは、別の方向に向かって行った 雅たちを遠目に見ながら、征四郎たちは 村の中にある民家を一つ一つ、回って行く 「("鴇与"------)」 「征四郎くんと、同じ、 "鴇与"の姓だな-----?」 「-------....」 …

「血の家」 四十三雫

「ブロロロロロロロロロロ....」 「しかし、何だってんだろうな...」 「-----ええ!?」 昨日、神代の集落を 抜ける時に通った道をそのまま、 征四郎と善波を乗せたバイクが走って行く 「いや! 昨日の、 "村"の事だっ!? ・・・分かるだろうっ!?」 「(・…

「血の家」 四十二雫

「....バイクか?」 "キュルルルルルルルル" 「ああ-----。 執事の近藤に頼んで、用意してもらった」 "ウォォンッ" 叶生野家の屋敷の駐車場で、征四郎は かなり排気量の大きいバイクの アクセルを吹かしながら、 バイクを挟んだ場所に立っている善波を見る …

「血の家」 四十一雫

「む、村だ・・・」 「こ、こんなトコロニ-----!?」 草や木々に覆われた道の中をしばらく歩くと 突然、征四郎たちの目の前に まるで異界から取り残されたような "集落"が現れる------ 「こ、これが、さっき言ってた "ダムの村"って奴か?」 「---------え…

「血の家」 四十雫

"ザッ ザッ ザッ ザッ------" 「じゃあ、この先に 何か村みたいなものが あるって言うのか----?」 「おそらく------」 "ザッ ザッ...." 征四郎は自分の前に続く 草が途切れた、目の前にできた道の様な場所を 携帯の明かりを頼りに、先へと進んで行く 「さっ…

「血の家」 三十九雫

「それじゃあ、俺達もすぐに出る」 「-----お気をつけ下さい」 "ブロロロロロロロロロロロ..." 善波の言葉を聞くと、征次はそのまま車に乗り、 山間(やまあい)の道を引き返し 神代の集落の方へと消えていく 「俺達も戻るとするか」 「ガチャ」 「・・・・」 …

「血の家」 三十八雫

「どうやら、この辺りの様だな」 「・・・・」 "バタン" 車から降り、ドアを閉めると、 善波は封筒の中に入った紙を手に持ちながら 目の前の木々に覆われた深い森に目を向ける 「地図によると、どうやらこの辺りの事が 書かれているみたいだが...」 「ココに…

「血の家」 三十七雫

「じゃあ、あれは、俺たち以外の 叶生野の一族の人間が やったって言うのか!?」 「セイシロウ...それハ...」 前日の事件があった翌朝、 ジャン、征四郎、善波の三人は 叶生野の家のガレージに集まり 車の外で、昨日の出来事について 話しをしていた... 「…

「血の家」 三十六雫

「カチ カチ カチ カチ カチ...」 「・・・・」 「・・・・」 「・・・・」 時間は既に十二時を回り、 征四郎たち、そして叶生野一族の人間は 無言で、テーブルに付く 「・・・・」 征四郎がチラリと、少し離れた場所にいる 尤光たちに目を向ける 「・・・・…

「血の家」 三十五雫

「それじゃあ、また、後日な」 「ああ」 「ガチャ」 屋敷の玄関の前にいる 善波、征四郎、ジャンに向かって一言告げると 禎三は、屋敷の中へと引き返していく 「・・・・」 車に向かって歩きながら征四郎は、 隣にいる善波に向かって口を開く 「さっき、尚佐…

「血の家」三十四雫

「じゃあ、ウチの祖父さんとも よく、一緒に回ったりしてたのか?」 手に持っていたゴルフクラブを壁に立て掛けると 善波は机に座っている禎三の方に振り返る 「まあ、頻繁にって程では無いが... 今まで十回以上は一緒に 回ってるんじゃないか?」 「だった…

「血の家」 三十三雫

「----何か、飲むか?」 「いや、平気だ」 禎三に従い、屋敷の中を少し歩き、 階段を登ると征四郎たちは 広い、古めの洋館を思わせる様な 廊下にいくつも並んだ部屋の一室に通される 「・・・けっこう本を読むんだな...」 「・・・・」 「本だらけね」 十畳…

「血の家」 三十二雫

「ずいぶん、集まってるな-----」 「・・・・・」 "キィッ" 「ガチャッ」 征四郎、善波、ジャンの三人が 車を下りて藤堂の邸宅の前に着くと、 そこには、大勢の人間が集まっているのが見える 「親父が死んだから、 おそらく村の外から 叶生野に関りがある人…

「血の家」 三十一雫

「----善波様、車の方の手配が整いました」 「おお、そうか」 応接室の入り口から、 善波が征四郎たちの方に振り返る 「おい! 出発だ!」 「ようやくネ------、」 「時間がかかったな...」 「ガタ」 ジャンと征四郎が椅子から立ち上がり、 扉の前に立ってい…

「血の家」 三十雫

「ダメだ。どうやら今、代わりの車も 屋敷には無いらしい」 「代わりの車が無いって...」 征四郎は広い駐車場の屋内を見渡す 「これだけ人がいる家だったら 代わりの車くらい いくらでもあるんじゃないのか?」 「それが、よく分からんが 他の尤光や雅たちが…

「血の家」 二十九雫

「・・・・・」 「ガチャ」 寝室で目を覚まし、征四郎は 二階から一階の応接室に下りて扉を開ける 「・・・・」 広い、招待客用のテーブルが いくつも並んだ部屋の中には、 この叶生野家の使用人以外 叶生野の一族の姿は見えない 「(・・・・)」 適当に空い…

「血の家」 二十八雫

"しかし、驚いたな----- 尚佐御大がよく、鷺代の家に来て 茶碗や陶器を作っていたとは-----" 「(・・・・)」 「ガタ」 征四郎は寝台から起き上がると 暗闇の中、近くの小机に置いてあった 水のボトルを手に取る 「(--------...)」 "それに、神代の集落に "征…

「血の家」 二十七雫

「この神代の集落の中にも、 "征佐"はいなかったって事か...」 すでに日が暮れ、夜になった 薄暗い道を、善波の車に乗り 三人は叶生野の屋敷へと引き返す 「どう思う? 征四郎くん?」 「-------、」 「聞いてるのか?」 「"!" あ、ああ----」 「-----大分…

「血の家」 二十六雫

「じゃあ、その、征和の名前の文字を取って この神代の人間は "征"の字を使う事になったのか...」 「そうでございます」 善波の言葉を聞いて、征次は 自分の手元にある別の水色の皿を手に取る 「どうやら、尚佐さまの遺言では 次の御代は、征佐と名乗る 方の…

「どうぞ、お入りください-----」 「ああ、じゃあ。」 「(--------)」 古い、藁葺(わらぶき)の 土蔵(どぞう)の様な家屋の入り口を抜け、 善波が土の土間の上で靴を脱ぐ 「ドソクは、ダメ?」 「・・・・」 「ガタッ」 「・・・・」 土間から、古い木目調の木…

「血の家」 二十四雫

「貴様っ!? 何だっ その態度は!?」 「・・・私は、何も、 明人さまの言葉に 逆らうつもりなど------」 「仮にもお前は、この、叶生野の荘の 人間だろう!? それで叶生野の一族の私に向かって その口振りは何だ!?」 「ガチャ」 「(明人------)」 「尚…

「血の家」 二十三雫

「ダメだ! 何も分からんな!?」 「-----ええ。」 「"セイスケ"は、 ここにはいないみたいだヨ------、」 昼から、数時間ほど時間を掛け この神代の集落を回り、何か征佐の 手掛かりに繋がりそうな事は無いかと いくつか神代の集落の家を訪ねてみたが... 「…

「血の家」 二十二雫

「・・・・」 「そろそろ、神代の集落の辺りだと思うが...」 安永家の仮宅(かたく)がある山の麓(ふもと)から 車を走らせ、広い田畑を側に 十五分程車を走らせると 征四郎たちの車の周りに ポツポツと民家らしきものが目に入ってくる 「・・・・」 「多少、人…

「血の家」 二十一雫

「しかし、何なんだ、その、 "男"は------?」 「ブロロロロロロロロロロロ...」 総司の屋敷を後にした三人は 山道を善波の車に揺られながら 先程、征四郎が見たと言う "サングラスをした男" について話をしていた 「------さあ」 「何か目的があるのか?」 …

「血の家」 二十雫

「(いない--------、)」 征四郎が、安永の家の玄関から 先程、自分達がいた応接室の窓から 見えていた庭に向かって駆けて行くが... 「(確かに-------....)」 そこには、先程、応接室から 見えていた、 "サングラスとマスクをした男" の姿が忽然(こつぜん)と…

「血の家」 十九雫

「-----帰って来てたのか」 「ああ・・・・」 叶生野荘にある、安永の屋敷に通された 征四郎たちは、簡素な、あまり広くはない 安永の家の応接室に通される 「-----青木。」 「------はい。」 「三人に、茶でもお出ししろ」 「--------」 先程玄関前で、総司…

「血の家」 十八雫

「-----ここだ」 「ガチャ」 「---------、」 「スゴイ、山のなかね」 「ここが、"安永"の家だ」 「・・・・」 尚佐の屋敷から三十分程車を走らせ、 前日訪れた田島の家の傍にある湖を先に抜け 山道を、車を走らせる事十五分程。 「ここが、"安永閥"の屋敷な…