「血の家」 四十三雫
「ブロロロロロロロロロロ....」
「しかし、何だってんだろうな...」
「-----ええ!?」
昨日、神代の集落を
抜ける時に通った道をそのまま、
征四郎と善波を乗せたバイクが走って行く
「いや! 昨日の、
"村"の事だっ!?
・・・分かるだろうっ!?」
「(・・・・・)」
「それに、俺たちが拾った
あの、紙に書かれてた地図っ!?
あいつはなんなんだっ!?」
「--------...」
"ブワァァアアアアアアアア----!"
顔に当たる風を浴びながら、
征四郎は善波の言葉に何も答えず
ただ、目の前に広がる叶生野の景色に目をやる
「(確かにそうだ-----)」
あの、藤道家の駐車場で
善波の車のフロントガラスに置かれていた
茶封筒に入った紙-------...
「(あれは、昨日俺たちが行った
村の事を示していた様だが...)」
「まるでっ あの、集落の事をっ
俺たちにっ!?
見つけて欲しいみたいじゃないかっ!?」
「・・・・」
「それにっ 車のパンクや、
一昨日の車が燃えたり------!」
「(--------...)」
「世の中不思議な事だらけだなっ!?
征四郎くんっ!?」
「(・・・・・)」
「そうは思わないかっ!?」
「ええ、確かに------」
善波の言葉に、何か引っかかったが、
言葉の勢いに自分の考えは
どうでもよくなったのか、征四郎は
適当に相槌を打つ
「あの村に何かあるってのか!?」
「(-------、)」
「ブロロロロロロロロロロ....」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「善波さん------、」
「ああ」
"キィィッ"
「(--------、)」
"ザシャ"
丈の高い草が生えた山道をバイクで走り、
征四郎、そして善波は昨日と同じ様に、
周りを山々に囲まれた広い盆地の様な場所で
乗って来たバイクから降りる
「("車"------!)」
だが、昨日の景色とは一つだけ違い、
征四郎たちがバイクを止めた先の民家の側に一台の
"車"
が止まっているのが見える
「ガチャ」
「あら、征四郎------、」
「雅・・・・」
「また、ずい分、貧乏臭い
恰好をなさって-----?」
車から、何人かの男を従えて
叶生野家の次女、
"羽賀野 雅"
が、車から降りてくる
「何で、お前がここにいるんだ-----?」
「・・・・あら?」
征四郎の言葉に、雅は、澄まし顔を浮かべる
「何も、征佐を探してるのは、
アナタだけじゃなくってよ?」
「ガチャ」
「こんな場所に村があるなんてネー」
「ルーシー...」
雅に続けて、車の反対側のドアから
雅と共に行動していた
"ルーシー・ハドー・カミムラ"
が出てくる
「セイシロウ、
"コウヘイ"
に行こうヨ------...?」
「・・・・」
「ガチャ」
更に、ルーシーの後に続けて、
車の後部座席の扉から背の高い
金髪の男が降りてくる
「ワァオ... セイシロー
ハロー」
車から降りる人影を見た瞬間、
顔を見ずとも、征四郎には
この男が誰なのか既に分かっていた
「ジャン...」
「お前っ!?」
「・・・・」
ジャンは平然と、ヘルメットを持って立っている
征四郎、そして善波を笑顔で見ている
「ワタシも、コンカイの
"ミダイ"のコトは
トテモキニナッテイタよ-----」
「・・・お前が二人に喋ったのか?」
「・・・・」
"パッ パッ"
征四郎の言葉を聞くと、ジャンは目を閉じ、
顔を下に向け、それから首を横に二回ほど振る
「"フェァプレイ"でいこうヨ-----?
セイシロウ------?」
「フェアプレイ?」
「そうヨ------、
ワタシたち、たしかに、
キノウ、このバショを、
三人でみつけたヨ-----」
「・・・・」
征四郎の目が一瞬細くなるが、
ジャンは構わず話を続ける
「でも、その、"ミツケタ"ことヲ
みんなにシェアしないのは、
すこし、ズルイ------
ソウおもわナイ? セイシロウ?」
「・・・好きにしてくれ」
「では、好きにさせてもらいます-----」
「お、おい、征四郎くん」
背を向けた征四郎を見て、
慌てて善波が征四郎の後を追いかけて行く