おめぇ握り寿司が食いてえ

様々な小説を紹介

「血の家」 四十五雫

f:id:sevennovels:20211130032528j:plain

血の家

四十五雫

「アハハハハッ!」

「ガタッ!」

「な、ナニ------?」

「み、雅-----?」

「まさか------!」

征四郎たちとは別の民家。

「こんな事って------!」

「ど、どうしたの?」

「こんな-------!」

雅が突然大声を張り上げたの聞いて、

別の部屋にいたジャン、そしてルーシーが

雅の所まで駆け寄ってくる!

「ど、どうしたの? 雅----?」

「何か、あったノ------?」

「・・・・・」

「(・・・・?)」

ジャンとルーシーが、雅を見るが

雅は、一枚の古い紙切れの様な物を

自分の前に広げ、その紙をただ、見ている

「まさか、征佐の"正体"が-----...!」

「な、ナニ?」

「どうしたの?」

「・・・・アハハ」

「?」

"ドンッ"

「Hey!」

「・・・・・」

雅は、自分の後ろにいた二人の事を忘れているのか

突然振り返ると、ジャンに肩をぶつけながら

部屋から外へと出て行く

「(--------?

   "カミ"------?)」

「("征佐"-------!)」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「やはり、この中に

  誰か人が住んでたみたいだな-----」

「・・・・」

「見ろ、征四郎くん」

「・・・・」

征四郎たちが庭先から民家の中へ入ると

そこには、

机、箪笥(たんす)、座布団、皿....

その他の家具や道具------、

「どうも、つい最近まで

  この家に誰か出入りしてたみたいだな」

善波が、ちゃぶ台の上に置かれた

盆の様な物を手に取りながら、征四郎を見る

「(おそらく、人がこの

   "ダムの村"の様な場所に

   住んでいるとは思ったが...)」

集落内の様子からすれば

すでにこの集落の人間は

村を立ち去ってから何十年も経っている筈だ。

「・・・・」

だが、このあまり大きくはない

民家の整然とした様子から

この集落内に人の出入りがある事は

ある程度征四郎には予測が付いていた

「他の民家には人が住んでる様な

 気配は無かったが、

  ここには-----....」

"パッ"

「・・・電気も点(つ)くぞ?」

天井に吊り下げられていた紐(ひも)を

善波が引っ張ると、部屋の中が照明で照らし出される

「("子供の写真"------?)」

「この家に住んでいた人間の写真か?」

征四郎が部屋の隅に置かれた

自分の背丈の半分ほどの

箪笥の上を見ると、その上に

白黒の一枚の写真が

写真立ての中に収められている

「(・・・・?)」

「どうしたんだ、征四郎くん?」

「・・・・!」

写真立てを手に取ったまま、

征四郎はまるで瞬(まばた)きもせず

手に取った一枚の白黒写真を見つめる

「(どこかで-----....)」

「何だ? その写真に何かあるのか?」

「-------ッ!」

"ダッ!"

「あ、おい!?」

「(-----この写真は-----!)」

とっさに、征四郎はバイクに置いていた

携帯を取りに走る!

「ど、どうしたんだ?」

「ガタ」

「・・・・・!」

箪笥の上に置かれた写真立てが、

置いた場所が悪かったのか

箪笥から滑り落ち

その下の畳の上に無造作にバラ撒かれる

「・・・・」

散らばった写真立てと、

一枚の白黒写真が音もなく

古びた畳の上で重なり合う