「血の家」 四十五雫
血の家
四十五雫
「アハハハハッ!」
「ガタッ!」
「な、ナニ------?」
「み、雅-----?」
「まさか------!」
征四郎たちとは別の民家。
「こんな事って------!」
「ど、どうしたの?」
「こんな-------!」
雅が突然大声を張り上げたの聞いて、
別の部屋にいたジャン、そしてルーシーが
雅の所まで駆け寄ってくる!
「ど、どうしたの? 雅----?」
「何か、あったノ------?」
「・・・・・」
「(・・・・?)」
ジャンとルーシーが、雅を見るが
雅は、一枚の古い紙切れの様な物を
自分の前に広げ、その紙をただ、見ている
「まさか、征佐の"正体"が-----...!」
「な、ナニ?」
「どうしたの?」
「・・・・アハハ」
「?」
"ドンッ"
「Hey!」
「・・・・・」
雅は、自分の後ろにいた二人の事を忘れているのか
突然振り返ると、ジャンに肩をぶつけながら
部屋から外へと出て行く
「(--------?
"カミ"------?)」
「("征佐"-------!)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やはり、この中に
誰か人が住んでたみたいだな-----」
「・・・・」
「見ろ、征四郎くん」
「・・・・」
征四郎たちが庭先から民家の中へ入ると
そこには、
机、箪笥(たんす)、座布団、皿....
その他の家具や道具------、
「どうも、つい最近まで
この家に誰か出入りしてたみたいだな」
善波が、ちゃぶ台の上に置かれた
盆の様な物を手に取りながら、征四郎を見る
「(おそらく、人がこの
"ダムの村"の様な場所に
住んでいるとは思ったが...)」
集落内の様子からすれば
すでにこの集落の人間は
村を立ち去ってから何十年も経っている筈だ。
「・・・・」
だが、このあまり大きくはない
民家の整然とした様子から
この集落内に人の出入りがある事は
ある程度征四郎には予測が付いていた
「他の民家には人が住んでる様な
気配は無かったが、
ここには-----....」
"パッ"
「・・・電気も点(つ)くぞ?」
天井に吊り下げられていた紐(ひも)を
善波が引っ張ると、部屋の中が照明で照らし出される
「("子供の写真"------?)」
「この家に住んでいた人間の写真か?」
征四郎が部屋の隅に置かれた
自分の背丈の半分ほどの
箪笥の上を見ると、その上に
白黒の一枚の写真が
写真立ての中に収められている
「(・・・・?)」
「どうしたんだ、征四郎くん?」
「・・・・!」
写真立てを手に取ったまま、
征四郎はまるで瞬(まばた)きもせず
手に取った一枚の白黒写真を見つめる
「(どこかで-----....)」
「何だ? その写真に何かあるのか?」
「-------ッ!」
"ダッ!"
「あ、おい!?」
「(-----この写真は-----!)」
とっさに、征四郎はバイクに置いていた
携帯を取りに走る!
「ど、どうしたんだ?」
「ガタ」
「・・・・・!」
箪笥の上に置かれた写真立てが、
置いた場所が悪かったのか
箪笥から滑り落ち
その下の畳の上に無造作にバラ撒かれる
「・・・・」
散らばった写真立てと、
一枚の白黒写真が音もなく
古びた畳の上で重なり合う