「血の家」 二十八雫
"しかし、驚いたな-----
尚佐御大がよく、鷺代の家に来て
茶碗や陶器を作っていたとは-----"
「(・・・・)」
「ガタ」
征四郎は寝台から起き上がると
暗闇の中、近くの小机に置いてあった
水のボトルを手に取る
「(--------...)」
"それに、神代の集落に
"征"の字の人間が多いのは、
左次郎の後の征和の影響なんだって?"
「(・・・・・)」
先程、招待客用の応接室で食事を取っていると
聞きもしないのに、明人は、
嫌らしい笑みを浮かべながら、
征四郎たちが鷺代の家で征次に聞いたことを
告げて来た
"嫌らしい野郎だ"
おそらく、明人は一旦鷺代の家から
帰った様な素振りを見せて
自分と、征次の話を鷺代の家の外で
立ち聞きしていたのだろう。
「・・・・」
"サァァァァアアアアアアア------
「(・・・・)」
屋敷の庭に植えられている槙(まき)の木が
風に揺られているのか、静かな音を上げている
「・・・・」
「コト」
征四郎は水のグラスをテーブルの上に置き、
窓の外の暗闇に目を向ける
「・・・・?」
「ガサッ」
"タッ タッ タッ タッ...
「(人・・・?)」
征四郎がいる二階の窓から
見下ろした場所に立っている中でも、
一際大きな槙の木の下。
「-------っ」
「~~~~?..??」
「("雅"-------)」
その大きな木の枝のカサに隠れる様にして
叶生野家の次女、羽賀野 雅の姿が見える
「(--------もう一人...)」
「~~~! ----??」
「-----!? ------...」
更に、その木の幹の枝の下に
隠れる様に立っている雅の隣に、
一人の、背の高い、スーツ姿の男が見える
「・・・・」
夜で明かりが無いせいか
雅の姿は確認できるが、
その雅の隣にいる男の姿が誰かは判別がつかない
「(・・・・)」
「~~~~、
----??、
---------。」
「! 、、、、、
-------??」