「血の家」 二十七雫
「この神代の集落の中にも、
"征佐"はいなかったって事か...」
すでに日が暮れ、夜になった
薄暗い道を、善波の車に乗り
三人は叶生野の屋敷へと引き返す
「どう思う? 征四郎くん?」
「-------、」
「聞いてるのか?」
「"!"
あ、ああ----」
「-----大分疲れも溜まってる様だな...
もうすぐで、叶生野の屋敷に着く。
今日はここらで切り上げるとしよう」
「ええ------」
「明日は、どうスルの?」
「そうだな...」
「だか-----、
-----そ、、、」
「------じゃナイ?」
「("鳥"------)」
「-----で、ょ?」
「------みたいだな。」
「(そして、"征"の字-----)」
「だったら、-----とオモ,,」
「それも------かもな」
「(・・・・)」
二人のやり取りを横で聞き流しながら
征四郎は、征次が言っていた言葉を思い返す
「("征"の字------、
そして、"鳥"-----...
この二つは------)」
征四郎の家、"鴇与家"
その名前にも、神代の集落の人間と同じ様に
男子には"征"の字を名付け
そして、"鴇与"。
その名字には神代の集落で使われる様な
鳥の名前や、更にこの村で
よく使われている様な姓の
"代"や、"与"などの字が入っている
「(もしかしたら、鴇与家は
この神代の集落と
かなり近い
関係なんじゃないか----?)」
「おい-----四郎くん?」
「----シロウ?」
「(だが、そうだとしても----)」
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「カチャ」
「カチャ」
「・・・・」
「ああ、もう食事を取ってるのか?」
「・・・」
「・・・・」
征四郎、善波、ジャンの三人が
叶生野の屋敷の応接室に入ると
そこには、すでに、尤光、正之、明人が
皿を並べ、テーブルの上に乗せられた料理に
食器を付けている
「・・・俺達も食事にするとするか。
-----近藤、」
「-----はい」
尤光たちが自分の言葉に何の返事もしない事に
何一つ関心を持たず、善波は席に着いて
少し離れた場所にいる近藤を呼び寄せる
「そろそろ、食事の仕度にしてくれんか」
「------かしこまりました」