「血の家」 四十二雫
「....バイクか?」
"キュルルルルルルルル"
「ああ-----。
執事の近藤に頼んで、用意してもらった」
"ウォォンッ"
叶生野家の屋敷の駐車場で、征四郎は
かなり排気量の大きいバイクの
アクセルを吹かしながら、
バイクを挟んだ場所に立っている善波を見る
「昨日の場所-----」
「・・・・」
"ウォォオオンッ"
"ウォオオンッ!"
「どうやら、あの場所、車は入れない様だが
"コイツ"なら-----」
"ウォォォンッ"
「-----確かにコイツだったら、
あの山道を抜けて
昨日の集落まで行けるだろうな...」
「ガタッ」
「善波さん、後ろ、乗ってくれ」
征四郎はバイクにまたがると
ヘルメットを善波に向かって放り投げる
「・・・・・」
「どうしたんだ?」
ヘルメットを持ったままその場で動こうとしない
善波を見て、征四郎が善波の顔を覗く
「いや、ジャンはどうした?」
「・・・・」
"ウォォオオンッ ウォォオオンッ"
「さあ-----、
今朝、アイツを呼びに部屋に行ったら、
「今日は別にやる事がある」
ってさ。」
「そうか------
よし。」
「ガタッ」
「------掴まっててくれ」
「運転できるんだろうな?」
「ああ、国際免許を持ってる」
"ウォォオオオオンッ!"
"ウォォォオオオオオオンッ"
「うおっ」
「行くぞっ!」
"ブオオオオオオオオ--------
軽く、前輪を地面から浮き上がらせると
征四郎、善波を乗せたバイクは
叶生野のガレージから飛び出して行く