おめぇ握り寿司が食いてえ

様々な小説を紹介

「血の家」 二十三雫

f:id:sevennovels:20211116125033j:plain

「ダメだ! 何も分からんな!?」

 

「-----ええ。」

 

「"セイスケ"は、

 

  ここにはいないみたいだヨ------、」

 

昼から、数時間ほど時間を掛け

 

この神代の集落を回り、何か征佐の

 

手掛かりに繋がりそうな事は無いかと

 

いくつか神代の集落の家を訪ねてみたが...

 

「まあ、確かに、この集落には

 

  "征"の字が名前に入ってる

 

  男は多いようだが....」

 

「それが、ナニよ」

 

「-----それも、そうだ」

 

征四郎たちは、先程尤光と会った

 

軽食屋の軒先の長椅子に座り、

 

暮れかけている夕陽に目を向ける

 

♫ ピロリロリン

 

「-----?」

 

「------近藤か」

 

「ああ」

 

突然、携帯の着信音が鳴り

 

善波が携帯を手に取る

 

「-----どうした、近藤!

 

  何か分かったのか!?」

 

「【------ええ、一応は....】」

 

「(・・・・)」

 

あまりに手掛かりが無い事に焦れたのか、

 

善波はどうやら叶生野の屋敷にいる執事の近藤に

 

この神代の集落について調べさせていた様だ

 

「この、神代の集落には、

 

  "征"の字の人間が多いんだろうっ!?

 

  だったらっ ここに

 

 "征佐"がいるんじゃないのかっ!?」

 

「【そこまでは、

 

  分かりかねます-------】」

 

「だったら、何か他に

 

 分かった事でもあるのか!?」

 

「【-------ええ。】」

 

「何だっ!?」

 

「・・・・」

 

特に考える事も無いのか、

 

征四郎、そして隣に座ったジャンは

 

ただ、携帯に向かって怒鳴りつけている

 

善波を見ている

 

「【-----今回の御代の件に

 

  関りがあるかどうかは

 

   分かりませんが、

 

   お亡くなりになられた

 

  尚佐さまの事に関して

 

   少し分かった事が------...】」

 

「祖父さんのっ!? 何だっ!?」

 

「【・・・

 

   どうやら、今、善波さま、

 

   そして、征四郎さま、ジャンさまが

 

   おられる神代の集落------】」

 

「ああ、今いるぞっ」

 

「【どうやら、その、神代の集落の

 

   ある家に、尚佐さまは、

 

   よくお顔出しを

 

  なされていた様なのです-----】」

 

「家っ!? どこの家だっ!?」

 

「【その神代の集落の手前から少し進んだ先、

 

   神代の集落の外れに鷺代家(さぎしろけ)

 

  と言う家が御座います-----、】」

 

「鷺代っ!? 何だっ!? 

 

  ソイツはっ!?」

 

「・・・・

 

  ツー、ツー...」

 

「あ、 お、おい!?」

 

「ツー....」

 

「どうしたんだ?」

 

「いや、で、電話が------」

 

「ゼンバさん、ウルサイから、

 

  電話切られたんじゃナイ?」

 

「-----そうかもな...」

 

"スッ"

 

善波は、携帯をズボンのポケットに入れる

 

「どうやら、この場所の少し先に

 

  "鷺代"と言う家があって、

 

  尚佐祖父さんは、そこによく

 

  顔を出してたそうだ------」

 

「鷺代・・・」

 

「とりあえず、そこに行ってみるか」

 

「・・・・」