「血の家」 四十四雫
「見ろ、征四郎くん-----、」
「-----ええ。」
自分達とは、別の方向に向かって行った
雅たちを遠目に見ながら、征四郎たちは
村の中にある民家を一つ一つ、回って行く
「("鴇与"------)」
「征四郎くんと、同じ、
"鴇与"の姓だな-----?」
「-------....」
何軒か民家を回った後、
征四郎たちは一軒の、表札に
"鴇与"の姓が書かれている
民家の前で足を止める
「・・・・」
「・・・・」
二人は、余り大きくない、
表札が書かれた門を抜け
少し先の古い、少然とした
木造りの建物が置かれている庭先へと進んで行く
「車か....?」
「・・・・」
"ザッ ザッ ザッ ザッ..."
「(--------、)」
車、古びた何かの機械、
子供が使うような遊び道具------、
「(--------、)」
まるで、時間が止まった様に
この家の庭先は、止まったまま
止まったように、ただ、"ある"------
「他の民家とは、少し感じが
違うみたいだな----、 ここは?」
「・・・・」
先程回った二、三軒の民家。
「(ここは------、)」
その民家の周りには草が伸び切り、
建物もかなり所々崩れたり、
ガタが来ている様に見えたが
今目の前にあるこの建物には
それらと状を異ならせ
どこか、別の雰囲気が漂っている
「やけに、小ぎれいじゃないか----?」
「確かに....」
「(・・・・)」
何か、生活感を感じさせる様な
庭の景色に征四郎は、周りを見渡す