「血の家」 四十九雫
「まさか------っ!
そんな事が-------っ!?」
「あら、尤光姉さんだったら
とっくにご存じだと思ったけど-----?」
"ガチャンッ!"
「ガチャ」
「そんな事っ!
----有り得る筈は無いでしょっ!?」
「そうだっ!?」
"ドンッ!"
「(・・・・?)」
「オイオイ、何か揉めてるみたいだな」
「何か、証拠でもあるのっ!?」
「証拠なら、ほら、"ここ"に-----?」
「・・・・!」
「何なんだ? アイツらは?」
征四郎、善波が朝食を取ろうと
応接室の扉を開けるとそこには
雅、そして尤光、正之、
明人の姿が見える-----
「そんな事があるかっ!?」
"バンッ!"
「何だ・・・?」
「そんなのは、お前が勝手に作り出した
嘘に決まってるっ!」
「(-------~~~...)」
遠目から、征四郎が扉から離れた窓際の
テーブルに座っている四人を見ると
四人は、何か言い争いをしている様だ
「とにかく、そう言う事だから
姉さんたちには
"御代"の後を継ぐのは
諦めてもらわないと-------?」
「--------っ!」
"ガタッ"
「・・・・!」
"ドンッ!"
「-------退きなさいっ!」
尤光は、テーブルから勢いよく立ち上がると
ドアの前にいた征四郎にぶつかり
罵声を浴びせながら部屋の外へ出て行く
「ね、姉さん!」
「ガタッ」
正之が慌てて尤光の後を追って
征四郎の横を通り抜けていく
「・・・認めん。
俺は、絶対にこんな事は認めんぞ...」
「あら、じゃあ、明人兄さんは
この、"系図"が嘘だって言うの?」
「-------!」
「ガタッ」
「-----退けッ」
「・・・・・」
雅が、何か一言告げると
席に残っていた明人は、
怒りをこらえた表情で部屋から外へ出て行く
「-----まったく、
図々しいったらありゃしない」
「-----何かあったのか?」
善波が、雅の元へ向かい
何か古い、紙のような物を
手にしている雅を覗き見る
「------あら、これはお二人とも。
ずい分遅い朝だこと-----?」
「あいつら、かなり怒ってたみたいだが....」
「--------、」
雅は、応接室の床に目を向ける
「これは、善波兄さんには
関りが無い事------、」
"スッ"
「あ、おい!」
「------ああ」
征四郎と善波の間を通り過ぎて行った
雅が足を止め、二人の方に振り返る
「そう言えば------...」
「・・・何だ?」
「葬儀の日取りを決めるのは
善波兄さんだと
近藤から聞いたけど------」
「----それが何かあるのか?」
「・・・・」
雅は、薄っすらと笑みを浮かべる
「いえ、私たち羽賀野の人間も、
それ以外の方たちも、
葬儀の日取りが定まってないと
この叶生野荘から
動くに動けませんから------」
「・・・ああ、多分、明後日とか
その辺りになると思う」
「------明後日....」
"スッ"
「-----ご機嫌よう」
雅は、そのまま、善波に背を向け、
部屋の外へと出て行く...
「何なんだ? アイツは------?」
「・・・・」