おめぇ握り寿司が食いてえ

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死出島密室島連続殺人事件(7)

 

宏美

 

「・・・」

 

"誰かが自分の事を殺そうとしてるかもしれない"

 

ロビーに集まったのはいいが、

 

部員の全員が、

 

皆、そのような不安を感じていた

 

国東

 

「・・・

 

 ボウガンにタイマーがセットしてあったって事は、

 

 結局この中に犯人がいる、

 

 そういう事だろ」

 

鮎人

 

「・・・」

 

無駄に部員の不安を煽(あお)っても仕方ないと

 

思ったが、事実はそういう事だろう

 

国東

 

「・・・

 

 この中でタイマーとかそう言う

 

 機械関係に詳しいのって誰かいるか?」

 

国木

 

「本田さんってそういうのに詳しいんじゃない?

 

 機械科だし」

 

国木がそう言うと、

 

あわてたように、本田が答える

 

本田

 

「・・・

 

 別にタイマーなんてちょっと

 

 ネットで調べれば誰でも分かるだろ」

 

本田がそう言う。

 

言われてみればそのような気もする。

 

国木

 

「・・・

 

 この中に真奈美さんを殺した人がいるかもしれないんでしょ?

 

 私、こんなとこにいたくない

 

 行こ、本田さん」

 

そう言うと、国木は本田と一緒に

 

ロビーから離れ、どこかへ去って行った...

 

国東

 

「お、おい」

 

国東が呼び止めたが、

 

国木は返事もせず、そのままどこかへ歩いて行った

 

景子

 

「・・・ 

 

 なんなの

 

 アイツら」

 

今は一か所に固まって、

 

警察が来るまで待つ、

 

と言うのが最善だと思うが...

 

弘也

 

「・・・

 

 もしかしたらあいつらが犯人なんじゃねーの」

 

国木と本田の態度だけ見れば、

 

確かにそのように思いたくなるが、

 

それは個人的な主観、

 

と言う物だろう。

 

鮎人

 

「・・・  

 

 少し冷静に考えてみた方がいいと思う」

 

国東

 

「・・・

 

 それもそうだな」

 

鮎人

 

「真奈美さんを殺した犯人の

 

 アリバイ、が分からない以上、

 

 動機から考えて見るのがいいんじゃないか?」

 

国東

 

「犯人を割り出すには、つまるところ

 

 アリバイと動機、この2つを調べるのが

 

 一番確実だからな」

 

鮎人

 

「・・・

 

 真奈美さんが死んで今一番得をする。

 

 もしくは、真奈美さんを恨んでる人間って誰か

 

 思い当たる?」

 

部員はみな押し黙る

 

わざわざ人を殺してまで、

 

得をするような動機は誰にも見当たらない

 

田島京子

 

「・・・

 

 でも宏美さんはどうなのかな」

 

いきなり名指しで名前を呼ばれたので、

 

宏美の顔が変わる

 

田島京子

 

「・・・

 

 だってそうでしょ?

 

 宏美さんは谷川君と、都都逸先生、

 

 この2人を殺してるわけだから。

 

 真奈美さんがいなくなれば、

 

 宏美先輩は2人を殺した責任を

 

 負わなくていいんじゃない?」

 

弘也

 

「・・・

 

 別に宏美先輩は二人を殺したわけじゃ無いだろ

 

 あくまでも事故だったんだから」

 

京子

 

「・・・

 

 でもそれは私たちの考えで、

 

 警察がどう判断するかは分からない訳だし...

 

警察が宏美さんがした事を、

 

 殺人だってとれば、

 

 宏美さんが逮捕されることだってある訳でしょ?」

 

京子が言ってる事も確かにそうだが、

 

何か腑に落ちない

 

鮎人

 

「・・・

 

 それって結局、今まで事故死した二人を、

 

 宏美さんが故意に殺してたって前提によって

 

 成り立ってる仮説だよね?」

 

京子

 

「・・・」

 

鮎人

 

「だってそうじゃなくて、

 

 二人が単に事故死してたら、

 

 宏美さんが真奈美さんを殺す理由には

 

 ならない訳だし...

 

 あくまで宏美さんが事故死した

 

 二人に殺意を持ってると考えるから、

 

 成り立つ仮説だよね?」

 

京子

 

「・・・

 

 だってそうでしょ?

 

 考えてみてよ!?

 

 たまたま一人の女に近づいた

 

 男二人が死ぬってあり得る!?」

 

言われてみればそうだ

 

いくら偶然にしても、

 

こうやって立て続けに二人の人間が

 

死ぬとはどうしても考えられない

 

鮎人

 

「結局

 

 宏美さんが故意で二人を殺したのか、

 

 それとも本当に偶然が重なったのか...

 

 そういう事だよね」

 

部員の視線が宏美に集まる

 

宏美

 

「・・・」

 

宏美先輩は、何も言わない。

 

国東

 

「・・・

 

 とりあえず警察が来るまで待とう。

 

 風間がやった事は

 

 偶然にしろ、故意にしろ、

 

 俺たちがここに固まってれば

 

 これ以上は何も起こらない」

 

確かにそうだ

 

そう思った。

 

だが、風間の無難な考えも虚(むな)しく、

 

ロビーで待っている俺たちの元に、

 

国木が駆けつけてくる

 

国木

 

「・・・」

 

国東

 

「なんだよ?

 

 お前らは別で行動するんじゃないのか?」

 

国木

 

「・・・

 

 本田先輩が...」

 

鮎人

 

「・・・

 

 どこだ」

 

国木

 

「む、向こう」

 

国木が指差す方へ走っていく

 

ロビーを抜け、

 

角を左に曲がる

 

鮎人

 

「本田さん!」

 

角を曲がった先には、

 

今さっきまで俺たちと話をしていた、

 

本田が、

 

まるで人形のように、

 

壁にぶら下がっている。

 

国東

 

「・・・

 

 ボウガンか」

 

国東がそう言う

 

鮎人

 

「・・・

 

 これで2人目か」

 

どこまで続くか分からない

 

この悪夢のような現実に、

 

俺たちはどうしようもなく

 

ただ立っている事しかできない