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「死出密室島連続殺人事件(6)」

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死出島密室島殺人事件(6)

 

ロビーに集まった部員は、

 

全員どこか現実感がなく、

 

うつろな表情をしている

 

宏美

 

「・・・

 

 一応全員ロビーに集めたけど」

 

鮎人

 

「すいません」

 

とりあえずロビーに全員を集めたのはいいが、

 

どうやって話を切り出していいか分からない

 

それに俺は部外者だ。

 

鮎人

 

「・・・

 

 宏美先輩」

 

宏美

 

「・・・」

 

鮎人

 

「とりあえず真奈美さんが死んだ原因と、

 

 その時部員が何をしてたか

 

 聞いた方がいいと思うんだけど」

 

宏美

 

「・・・」

 

宏美が集まっている部員の前に出る

 

宏美

 

「・・・

 

 今回はこのような事になって...

 

 本当に残念です」

 

部員

 

「・・・」

 

宏美

 

「私たちは、今何をするべきでしょうか」

 

誰も何も言おうとしない

 

鮎人

 

「・・・

 

 さっき見た通り、真奈美さんは

 

 誰かに殺されている。

 

 しかも犯人は、部員のうちの誰かだ」

 

柿崎

 

「・・・

 

 何でそんな事が言えるんだ?」

 

鮎人

 

「死体に刺さった矢の角度、

 

 あれはどう見ても真奈美さんが打ち込んだものじゃない、

 

 それに凶器のボウガンも、

 

 真奈美さんには分からない場所に置いてあった」

 

景子

 

「でもだからって部員の誰かがやったって事には...」

 

国東

 

「・・・

 

 じゃ、他に誰がいるんだ?

 

 この島には俺たち以外には誰もいないんだぞ!」

 

国東がやや怒鳴り気味で、そう言うと、

 

部員全員が黙った。

 

田島京子

 

「この島には、死人(しびと)伝承があるみたい」

 

弘也

 

「死人伝承?」

 

田島京子

 

「毎年夏になると、この島に住む

 

 人さらいが、島の外から来た人間を、

 

 さらって、生贄にする...」

 

国東

 

「・・・

 

 あり得ん」

 

京子

 

「でも、確かに毎年夏の時期になると、

 

 この島に遊びに来た

 

 旅行者が、何人か不審死してるらしいんだけど...」

 

柿崎

 

「馬鹿らしい。

 

 そんな事よりもう分かるだろ?

 

 要は、真奈美さんが死んだ時間に、

 

 部員が何をしていたか聞けばいいんじゃないか?」

 

国東

 

「・・・

 

 確かに。

 

 それが一番早そうだ」

 

鮎人

 

「じゃ、そっちから順番に。 国木は何してたんだ」

 

国木 美憂(くにき みゆう)

 

「わたしぃ~?

 

 別に本田さんと一緒に

 

 外で食べ物探してたけど」

 

鮎人

 

「じゃ本田さんは?」

 

本田 重房(ほんだ しげふさ)

 

「同じく。 国木と一緒に外を回ってたよ」

 

鮎人

 

「じゃ、国木と、本田さんには、

 

 真奈美さんを殺すのは無理だったって事か...」

 

国東

 

「俺も京子と一緒に外に出てたぜ」

 

京子

 

「そう、そう!」

 

柿崎

 

「俺は桐島、西と外にいた」

 

洋子

 

「そうだよね」

 

弘也

 

「俺は景子と外で釣りしてた

 

 お前も近くにいたから知ってるだろ?」

 

鮎人

 

「・・・

 

 ああ」

 

鮎人

 

「(どういう事だ? 

 

  真奈美さんが殺されたと思われる時間には、

 

  みんな誰かと一緒にいて、

 

  真奈美さんを殺すことができたとは思えない...)」

 

弘也

 

「やっぱり自殺だったんじゃねー?」

 

国東

 

「じゃあ凶器のボウガンはどこに行ったんだ?

 

 死体の真奈美さんが自分で片付けたってのか?」

 

国木

 

「あ! ボウガンならあたしが片付けました」

 

国東

 

「え?」

 

国木

 

「だってぇ~ 

 

 あのままにしといたら

 

 気持ち悪いじゃない」

 

鮎人

 

「そもそも死体は誰が見つけたんだ?」

 

国木

 

「それもあたしです!」

 

鮎人

 

「・・・」

 

国木美憂

 

「あ! 

 

 でもその時も本田先輩と一緒に見つけたから

 

 私を疑うのはやめてよね」

 

訳が分からない

 

もしかしたら本田と国木が共犯って事はないか?

 

だが、二人が真奈美さんを殺す理由が見当たらない。

 

だがそうすると、誰も真奈美さんを殺していない事になる...

 

鮎人

 

「・・・」

 

弘也

 

「おいおい、犯人探しは止めよーぜ

 

 自殺だったんだろ」

 

国東

 

「全員誰かと一緒にいたんじゃ、

 

 誰も真奈美さんを殺せないしな...」

 

鮎人

 

「(いや、真奈美さんに刺さってた

 

  ボウガンの角度は

 

  どう見ても第三者によるものだった。

 

  確実にこの中に真奈美さんを殺した奴がいるはずだ

 

  二人一組で行動していたとしても、

 

  それが無実だと言う根拠にはならない

 

  共犯だとしたらいくらでも嘘がつける)」

 

「ボンッ」

 

突然二階から音がした

 

国木美憂

 

「な、なに?」

 

田島京子

 

「・・・

 

 やっぱり、、、

 

人さらいがいるんだよ!」

 

国東

 

「そんな訳あるか

 

 ・・・

 

 おい、並河」

 

国東先輩と一緒に

 

二階まで駆け上がる。

 

真奈美さんがいる牡丹の間を通り過ぎると、

 

真奈美さんがまだそのまま横たえている

 

その隣の雛菊の間の前に着く。

 

国東

 

「・・・

 

 たぶん音はこの辺りからしたと思うが...」

 

襖(ふすま)を勢いよく開け、

 

中に飛び込む

 

鮎人

 

「・・・」

 

国東

 

「・・・」

 

部屋の中に勢いよく飛び込んだものの、

 

中には何も見当たらない

 

国東

 

「・・・ 

 

 並河。」

 

国東が指を差す。

 

国東が指を差した方を見ると、

 

柱の中央にボウガンの矢が突き刺さっていた...

 

国東

 

「・・・

 

 どうやらタイマーがセットしてあるみたいだな」

 

鮎人

 

「タイマーのセットした時間になったら、

 

 勝手に矢が発射する仕組みになってるのか...」

 

遅れて部員たちが駆けつける

 

国木美憂

 

「な、なに? どうしたの?」

 

国東

 

「お前さっきボウガン片付けた

 

 って言ってたよな?

 

 ここにボウガン置いたのはお前か?」

 

国木美憂

 

「・・・そうだけど」

 

国東

 

「タイマー付けたのもお前か?」

 

国木

 

「なにそれ?」

 

国東と二人で顔を見合わせる...

 

国東

 

「とりあえず部員全員で一か所に固まった方がいいな」