「吉田と川越」 21OS
「お前は、じゃあ、その"半神化"を目的として
俺たちについてこのV-MONET内に
来たと言う事か・・・?」
「・・・・」
佐々木は、川越を無表情で見る
「お前ら吉田、そして川越....
お前ら二人は、俺たち悪魔と地上で
何度か顔を合わせ、
互いに憎みあっていた...」
「・・・・」
「だが、お前ら二人についてくれば、
数が減った俺たち悪魔も次の存在....
"神々を超えた存在"に近づく事が
できるんじゃないか...?」
"ギュッ"
佐々木は、まるで哀願するような表情を見せ、
足に着けていたスパイリーの足飾りに
目を向ける...
「-------今まで、俺たちと
敵対してたってのに急に、
手の平を返して俺たちの
仲間になるって事か...」
「-----ムシのいい話だな」
「・・・・」
"パッ"
吉田と川越の言葉に、佐々木は
スパイリーの足飾りを付けていた
反対の左足を、地面から離す....
「------"神々を超えた存在"ってのは
あのヤロウ...."マルサール"が
このV-MONET内に作り出した存在だが、
地上においては俺たち悪魔の敵でもある...」
「おやおや、どうやら、お前さんたちの間には
何か、一悶着(ひともんちゃく)
ある様だね・・・?」
「・・・・」
ヘルムートの言葉を無視して、川越は
少し先にいる佐々木を見る
「------仮に上手く、お前が
この空間内において悪魔を越え、
神々を越える存在になったとしても、
それを黙って俺たちが
見逃すと思うか------?」
「・・・・」
"ガサッ"
「それは-------」
佐々木が服から何か石の様な物を
取り出したのを見て、川越が表情を変える
「コルメタタスの魔石....」
"パンッ"
手に持っていた緑色に光る石を
軽く空中に放り投げ、佐々木はそれを手で
キャッチする
「この、コルメタタスの魔石は
マルサール、そして神々を越えた存在が残した
遺産の一つだ....」
「・・・・!」
「お前がその腕に着けている
フレイアの腕輪と同様、
このコルメタタスの魔石に使われてる
越数学の技術にはお前ら人間、
ダークウェブの連中も
興味があるんじゃないか....?」
「--------フン」
「じゃ、じゃあ、そいつは、
X-dog(エクス・ドッグ)の
一つなのか・・・?」
「------そう言う事だ」
驚いた表情を見せているヘルムートを、
佐々木はコルメタタスの魔石を
見せつける様に睨みつける
「X-dogか・・・」