「吉田と川越」 四OS
「だが、そうは言っても"力"が使えなきゃ
パソコンが使えたとしても、
それは、絵にかいた餅ってヤツじゃねえか?」
「・・・・」
"ピッ ピピッ"
"カタッ カタタタッ!"
「・・・・」
吉田が、AISUS-zk9のキーボードを叩くと、
パソコンの光に照らされて
ゴーグルをつけた吉田の顔がボウッと輝く
「確かに、その通りだな------」
"カチャ"
吉田は、ゴーグルを外しながら
佐々木が手にしているコルメタタスの魔石を見る
「いくら、プログラム言語を
使いこなせると言っても、
それは、旧時代の話だ...」
「一昔前だったら、
プログラミングの知識だけで
V-MONET内を
探索する事ができたんだがな...」
"チッ"
川越が、舌打ちをしながら煙草を地面に投げ捨てる
「("力"か-------、)」
21××年-------、
人類の操る、インターネット空間の殆どを
その支配下に置いたマルサールは、
そこから更に、自動学習機能により
越数学と呼ばれる新たな概念の数学を創り出し
それを利用して旧来的な、
数字と文字を操る言語だけの世界より
更に別の世界、"V-MONET"と呼ばれる
仮想空間を作り出し、
マルサールはその仮想空間内から
現実世界を支配する様になっていた...
「奴、マルサールは
様々な数学の公理や法則とは別に、
更に、生物の感情や自然の状態を
記号化する事によって
新たな概念、越数学と呼ばれる概念を作り出し
このV-MONET空間の
プロテクトをより強固にした...」
「その一つが、
"コイツ"だろ?」
"ポンッ ポンッ"
佐々木が手の平に握っていた
コルメタタスの魔石を軽く上に放り投げながら
座っている吉田を見る
「そうだ・・・
このV-MONET空間で
マルサールの手による様々な
プロテクトを破るためには、
ただ、数字や文字の羅列を解き明かすだけでは
このV-MONETに掛けられたマルサールの
プロテクトを破る事はできない...」
「-----よっと」
"パシッ"
佐々木が、自分が空中に放り投げた
コルメタタスの魔石をキャッチする
「佐々木が身に付けている
スパイリーの足飾り...
そして、川越のフレイアの腕輪...」
「-----こいつらが、
この先役に立つかも知れないって事か?」
「-----おそらく、そうだな」