おめぇ握り寿司が食いてえ

様々な小説を紹介

「吉田と川越」 四OS

f:id:sevennovels:20220122200331j:plain

「だが、そうは言っても"力"が使えなきゃ

 

  パソコンが使えたとしても、

 

  それは、絵にかいた餅ってヤツじゃねえか?」

 

「・・・・」

 

"ピッ ピピッ"

 

"カタッ カタタタッ!"

 

「・・・・」

 

吉田が、AISUS-zk9のキーボードを叩くと、

 

パソコンの光に照らされて

 

ゴーグルをつけた吉田の顔がボウッと輝く

 

「確かに、その通りだな------」

 

"カチャ"

 

吉田は、ゴーグルを外しながら

 

佐々木が手にしているコルメタタスの魔石を見る

 

「いくら、プログラム言語を

 

  使いこなせると言っても、

 

  それは、旧時代の話だ...」

 

「一昔前だったら、

 

  プログラミングの知識だけで

 

  V-MONET内を

 

  探索する事ができたんだがな...」

 

"チッ"

 

川越が、舌打ちをしながら煙草を地面に投げ捨てる

 

「("力"か-------、)」

 

21××年-------、

 

人類の操る、インターネット空間の殆どを

その支配下に置いたマルサールは、

そこから更に、自動学習機能により

 

越数学と呼ばれる新たな概念の数学を創り出し

 

それを利用して旧来的な、

 

数字と文字を操る言語だけの世界より

 

更に別の世界、"V-MONET"と呼ばれる

 

仮想空間を作り出し、

 

マルサールはその仮想空間内から

 

現実世界を支配する様になっていた...

 

「奴、マルサールは

 

  様々な数学の公理や法則とは別に、

 

 更に、生物の感情や自然の状態を

 

  記号化する事によって

 

  新たな概念、越数学と呼ばれる概念を作り出し

 

  このV-MONET空間の

 

  プロテクトをより強固にした...」

 

「その一つが、

 

 "コイツ"だろ?」

"ポンッ ポンッ"

佐々木が手の平に握っていた

 

コルメタタスの魔石を軽く上に放り投げながら

 

座っている吉田を見る

 

「そうだ・・・

 

  このV-MONET空間で

 

 マルサールの手による様々な

 

  プロテクトを破るためには、

 

  ただ、数字や文字の羅列を解き明かすだけでは

 

  このV-MONETに掛けられたマルサールの

 

 プロテクトを破る事はできない...」

 

「-----よっと」

 

"パシッ"

 

佐々木が、自分が空中に放り投げた

 

コルメタタスの魔石をキャッチする

 

「佐々木が身に付けている

 

  スパイリーの足飾り...

 

  そして、川越のフレイアの腕輪...」

 

「-----こいつらが、

 

  この先役に立つかも知れないって事か?」

 

「-----おそらく、そうだな」