「吉田と川越」 三OS
「これから、どうするつもりだ-----?」
マルサールが支配する、
マルサールが作り出した仮想構築空間
"V-MONET"の中を歩きながら
吉田、川越、そして佐々木の三人は
気味が悪い、まるで獣の肌が剥き出しになった様な
V-MONET内の通路を歩く-----
「-----ちょっと待て」
"ピッ"
吉田が、床に座り新型パソコン
"AISUS-zk9"、
のデスクトップ画面を立ち上げる
「見ろ-----?」
「ドット解析か------?」
「ああ。」
川越が、吉田の新型パソコンを覗き見ると、
そこにはドット絵の様な地図が表示されている
「"ドット"か....
今時、IT土方でもそんなの使う奴は
まずいないぞ------?」
「--------」
"カタ カタタタタタタ"
川越は、自分の後ろで自分の新型パソコンを
覗き見ている佐々木の言葉を無視して、
軽快なリズムでキーボードを弾(はじ)き上げる
「------とりあえず、俺たちは今
ナジュレムのゲートを潜って
そこからマルサールの創り出した
仮想空間、V-MONETの中に
侵入してきたわけだ...」
「ピッ ピッ」
吉田の指の動きに応える様に
新型パソコン内のドット絵が、
その表示を変化させる
「マルサールがいるこの世界の
コア(核)に入るためには、V-MONET内の
構築回路の一つであるFO-2.NETより、
ナジュレムのゲートを潜る方が
早いからな...」
川越が、佐々木が手にしている
コルメタタスの魔石に目を向ける
「だが、かと言って
肝心のマルサールの居場所が分からなきゃ
どうしようもねぇだろ?」
"ピッ ピッ"
「("片手"打ち------!)」
佐々木の言葉を聞いて、吉田は
自分のパソコンのキーボードから右手を外し、
反対の左手だけで巧みにキーボードを弾く!
「・・・とりあえず、マルサールの体内に
忍び込んだと言っても、
このV-MONET内の空間にはマルサールによる
数多くの
"プロテクト"が掛けられている...」
「プロテクトが掛かってたら、
この先に進むのも、一苦労って訳だ...」
"カチャ"
「そこで、こいつって訳だ!」
"ブワッァアアアアアアアア"
「-------!」
吉田が、AISUS-zk9のエンターボタンを
リズムで弾(はじ)くと、パソコン内から
光が浮かび上がる!
「そ、そいつは------!」
「こいつは、
"Alice-'AU.II-2O"
(アリスエーユー・ダブルシングル・ツーオー)
プロトタイプの、AIだな...」
「あ、アリ...
-----何だって?」
「-------どうした?」
吉田のAisus-zk9の画面から突如、
仮想空間内に具現化された
"アリサ"を見て
佐々木が眉を潜(ひそ)める
「これから人工知能と戦おうってのに、
お前は、人工知能の力を
借りるってのか-----?」
「-----背に腹は代えられん」
佐々木の表情が曇るが
吉田は飄々(ひょうひょう)とした顔付きで
パソコンから浮かび上がった
"アリサ"に目を向ける
「この、V-MONET空間は
仮想空間だ...
ブログラム言語、そして"越数学"
この二つを使いこなす事ができれば
大抵の物質は
具現化する事ができる-----、」
「・・・・なるほどな」