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「死出密室島連続殺人事件(11)」

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死出島密室島連続殺人事件(11)

 

急いで宿まで戻る

 

宏美を抱きかかえながら、

 

今回の事件の事を思いかえす

 

鮎人

 

「・・・

 

 おそらく偶然を装って...」

 

来た道を倍の速さで引き返す

 

鮎人

 

「おそらく、宏美と、

 

 他の部員は...」

 

もう少しでホテルだ

 

鮎人

 

「・・・

 

 俺を呼んだのは偽装って事か...」

 

ホテルに着き、

 

みんながいる厨房まで行く

 

「バンッ!」

 

勢いよく厨房のドアを開ける

 

部員全員が俺の顔を見ている

 

鮎人

 

「・・・

 

 やっぱりな」

 

その表情で全てを察した

 

弘也

 

「・・・

 

 あ、鮎人!」

 

弘也が駆け寄ってくる

 

駆け寄ってくる弘也を無視し、

 

宏美を厨房の隅に置き、

 

全員の輪の中の中心に行く

 

国東

 

「お、おいどうしたんだよ

 

 なんで風間が倒れてるんだ?」

 

景子

 

「・・・ 

 

 鮎人?!」

 

京子

 

「・・・

 

 どうしたの?」

 

国木

 

「・・・」

 

全員俺の元に寄ってくる

 

違和感を感じる。

 

洋子

 

「並河。

 

 良かったー」

 

洋子が俺の腕をさすりながら、

 

笑顔で俺に話しかける

 

鮎人

 

「・・・

 

 茶番は止めにしませんか」

 

汚い物を触るように洋子の手を振りほどく

 

洋子

 

「・・・

 

 え?」

 

弘也

 

「な、なんだよ 

 

 どうしたんだ、鮎人!」

 

弘也の顔を見る。

 

鮎人

 

「・・・

 

 俺、犯人が分かりました」

 

景子

 

「・・・

 

 鮎人?」

 

柿崎

 

「ど、どうしたんだよ

 

 犯人ってなんだ?」

 

鮎人

 

「今回の一連の事件...

 

 谷川が死んだとき...

 

 都都逸先生が死んだとき...」

 

国東

 

「・・・

 

 落ち着けよ、どうしたんだ?」

 

国東の一言に、思わず口角が上がる

 

鮎人

 

「最初は、宏美先輩が、故意に殺したか、

 

 それともただの偶然だと思ってました」

 

京子

 

「だから言ってるじゃない」

 

鮎人

 

「でもそれは違いました

 

 都都逸先生の奥さん、真奈美さん、

 

 そして、本田先輩...

 

 二人は明らかに他殺だった」

 

弘也

 

「・・・

 

 だからそれは変な奴がきて、

 

 そいつがやったんじゃ...」

 

鮎人

 

「俺もそう思った。

 

 でもそうじゃなかった」

 

国東

 

「・・・

 

 犯人が部外者じゃない、とすると、

 

 お前は俺たちの中に犯人がいる、

 

 そう言いたいのか?」

 

鮎人

 

「・・・」

 

景子

 

「ど、どうしたの鮎人?

 

 おかしいよ」

 

鮎人

 

「・・・

 

 犯人は...

 

この中にいる!」

 

俺の一言に他の部員が反応する

 

洋子

 

「な、なに? それ?」

 

弘也

 

「・・・」

 

鮎人

 

 「・・・んじゃないっ!」

 

景子

 

「は?」

 

柿崎

 

「おい..」

 

鮎人

 

「お前ら全員がっっ...

 

  犯人だっ!!」

 

全員がまるで岩で頭を殴られたような

 

表情をしている

 

部員

 

「・・・」

 

「ゴオーン!」

 

時計が鳴った。どうやら時間は三時のようだ

 

あまりに突拍子もない事を言ったせいか、

 

しばらく続いた沈黙ののち、

 

笑い声が聞こえる

 

国東

 

「あーはっはっはっ!

 

 お、お前...

 

 な、なに言ってんだよ!」

 

どうやら笑っているのは国東のようだ

 

国東

 

「・・・

 

 全員が犯人~?

 

 なに言ってんだよ」

 

国東がこれ以上ない人を馬鹿にした態度でそう言ってくる

 

鮎人

 

「・・・

 

 さすが演劇部ですね」

 

国東の顔が歪む

 

国東

 

「おい..そんな事ある訳ないだろ」

 

鮎人

 

「・・・

 

 順を追って説明しようか」

 

弘也が口を挟む

 

弘也

 

「いや、いいって、お前疲れてんだろ」

 

景子も弘也にあわせる

 

「鮎人~

 

 ちょっと休みなよ」

 

鮎人

 

「それ...]

 

言葉を言い終える前に、他の部員が口を挟む

 

柿崎

 

「なんだって」

 

鮎人

 

「い、いやそれ」

 

京子

 

「色々あったからね」

 

俺が喋ろうとすると、他の部員が、

 

俺の言葉を遮るように話しかけてくる

 

「・・・

 

 こいつら、俺に話させない気だな」

 

"110"

 

俺の言葉を遮ってくる部員たちに、

 

携帯の画面を見せつける

 

鮎人

 

「聞く気がないなら警察に行く」

 

弘也

 

「ど、どうしたんだよ」

 

鮎人

 

「・・・

 

 話を聞け」

 

俺がそう言うと、

 

「仕方がない」

 

と言う素振りで、

 

国東

 

「・・・

 

 分かった 

 

 お前が何を言ってるかよく分からないが、

 

 とりあえず聞いてやるよ」

 

鮎人

 

「・・・」