「吉田と川越」 14OS
「これから、どうするつもりだ------?」
"ガタッ ガタタッ"
"神"と呼ばれる存在が
このサイト内から消え去り、
落ち着きを取り戻したのかウィルは
サイト内に散らばった
工具やパソコンの部品を片付けながら
吉田たちに目を向ける
「"神"は去った-------」
「ああ....」
「(・・・・)」
"ガタッ"
"ガタタッ!
「(・・・・・)」
吉田は、ウィルが空間内に散らばった
道具をまとめているのを見て
何も無い、真っ白なサイト内を見渡す-----
「おいおい、今のが"神"だってんなら、
この先結構やべえ事に
なるんじゃねえか------?」
「・・・何でだ?」
吉田が、スパイリーの足飾りをしている
佐々木に目を向ける
「い、いや、このV-MONET内には
今みたいな"神"が、当たり前の様に
いるとは聞いてたが...」
「お前は、悪魔だろう-------?」
"ガタッ!"
「あ、悪魔っ!? コイツがか!?」
ウィルは、手に持っていた
パソコンの冷却器を床に落とす
「知らなかったのか?」
「い、いや・・・・」
「フン-------、」
ウィルと吉田のやり取りを見て
川越が冷めた目を浮かべる
「今さら、悪魔ごときで何を驚く必要がある...」
「い、いや...」
「この、V-MONETと言う空間は
マルサールが作り出した仮想構築空間だ。
神や悪魔の類いなら、
掃いて捨てる程いる------...」
【神と悪魔】
このV-MONET、そして地上の世界を支配する
"マルサール"は、この空間内に
想像が付く限りの存在を表出させ、
更にその表出させた存在の一部として
現実世界に存在する神や悪魔をも
この空間に生み出していた...
「し、しかし、悪魔とは...」
「-----何だよ」
「い、いや....」
佐々木が、自分に向かって好奇の目を浮かべている
ウィルを睨みつける
「----------...」
「川越。」
"カッ カッ カッ カッ....
川越は、吉田たちに背を向け何も無い
ウィルが作り出したサイト内を歩き回る
「もはや、この世に、神は存在しない....」
「・・・・」
"カッ カッ カッ カッ....
「マルサールが作り出した
この白灼(びゃくやく)とした世界は、
今までの地上の規則性を全て無に帰し
善や悪...人や、神...
全ての存在が入り混じる
混沌とした世界を生み出した...」
「・・・・」
今の暗い状況を指摘されたのが堪(こた)えたのか
ウィルは川越の言葉に、黙って地面に転がっている
パソコンのマザーボードに目を向ける...
「神だろうが、悪魔だろうが、
そんな事は些細な事だ...」
「よく分かってるじゃねえか? 川越?」
「・・・・」
「重要なのは、俺達、ダークウェブの人間が
この混沌とした世界、V-MONETを生み出した
マルサールの居場所を突き止め、
奴が構築した
この世界を破壊する事だ------」
「・・・・」