おめぇ握り寿司が食いてえ

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「吉田と川越」 13OS

f:id:sevennovels:20220202055023j:plain「い、一体何が起きたってんだ...?」

 

「------...」

 

突然、先程まで自分達に攻撃を仕掛けて来た

 

"存在"がこの場から姿を消したことに、

 

佐々木が不可解な表情を浮かべる

 

「単純だ....」

 

"カタタタ...

 

吉田は、パソコンのキーボードを撫でる様に

 

軽く弾く

 

「今、俺達を襲ってきた存在...」

 

「ああ、

 

  "神"

 

  だろ-------...?」

 

【V-MONET】

 

マルサールが創り出した仮想構築空間の名称で、

 

マルサールはこの仮想構築空間に

 

入り込んでくる侵入者達を排除するため、

 

さまざまなワームや、

 

シールドと呼ばれるプログラム...

 

さらには現実の世界で

 

人間を支配するべき存在の

 

"神"を越数学のプログラムによって

 

構築する事で外部からの侵入を

 

完全に遮断していた...

 

「奴が、"神"だとしても、

 

  所詮は、このV-MONET空間内で

 

  マルサールによって造り出された

 

  仮想プログラムにしか過ぎない...」

 

「だ、だから?」

 

"カタタタッ"

 

吉田は、再びキーボードに自分の指を這わせる

 

「今のが、マルサールがプログラムした"神"で

 

  この空間内において

 

 絶対的な力を持っているとしても、

 

  所詮、プログラムはプログラムだ....

 

  特定のプログラムによって作り出された

 

  仮想的な存在にしか過ぎない...」

 

「.....」

 

"ゴクリ"

 

佐々木が、喉を鳴らす

 

「"神"が、このV-MONET空間内の

 

  存在であるとすれば、奴を倒すには...

 

 いや、倒す必要すらない」

 

「------?」

 

吉田の言葉に佐々木が

 

よく分かっていない様な表情を見せる

 

「つまり、奴、"神"をこの仮想空間から

 

  強制的に排出してやればいいって訳だな」

 

"ガッ"

 

川越が、紫電-§(オルデ)を片手に

 

佐々木を見る

 

「神がこのサイト内に出現できると言う事は、

 

  神はこのサイトの

 

 プログラミング言語である----」

 

シンハラ語だ」

 

川越が軽く言葉に詰まると、側にいたウィルが

 

川越の言葉を続ける

 

「-----そうだ、奴が

 

 この空間内に存在している以上、

 

  奴はほぼ確実にこのサイトの言語、

 

  シンハラ語によって

 

 プログラミングされている筈だ...」

 

「-----~~~」

 

佐々木が、更に表情を歪める

 

「奴がシンハラ語によって

 

  プログラムされた存在であるとすれば、

 

  後は奴を構成しているプログラム列を解析して

 

  それを書き替えてやればいい...」

 

「そ、そんな事....」

 

「何だ?」

 

川越が、ウィルに視線を向ける

 

「い、いや、確かに、理論上は可能かも知れんが、

 

  だが、かと言ってまずシンハラ語

 

 プログラム言語を操る事自体簡単ではないし、

 

  それにそれができたとしても、

 

  奴を構成しているプログラムの構造なんて

 

  分かりようが無いだろう------?」

 

「------それは、アンタも

 

 もう分かってる筈だ」

 

"ガタッ"

 

川越は、手に抱えている紫電-§を

 

ウィルに見える様に掲げる

 

シンハラ語の使用...

 

 そして、プログラム解析...

 

  更には、奴をこのサイト内から

 

 強制排出させるためのコマンド....」

 

「・・・・」

 

川越は軽々しく口にしているが、

 

川越が口にする一つ一つの言葉は、

 

熟練したIT土方でも

 

簡単に実行できる様な代物ではない。

 

「そこで、コイツの出番って訳だ。」

 

"ポンッ"

 

「------量子コンピュータなのか...」

 

「フッ」

 

ウィルの言葉に、川越は

 

アブゾディカルな笑みを浮かべる

 

「------広く定義するなら、

 

  その言葉があてはまるだろうな」

 

量子コンピュータ

 

古い時代、おおよそパソコン黎明期(れいめいき)から

 

中期に使われていた

 

旧式のパソコンより更に高性能のパソコンの事で

 

パソコン自体の使う命令回路や、

 

記憶領域を大幅に拡張させたパソコンの事で、

 

この時代において熟練したIT土方達は、

 

この量子コンピュータの技術を

 

当然の様に扱っている...

 

「・・・・」

 

「------どうした?」

 

「いや....」

 

ウィルが何か不審な顔を浮かべているのを見て、

 

川越はウィルに視線を向ける

 

「いや、いくらお前の使ってるパソコンが

 

  量子コンピュータだとして....

 

 だとしても、さっきの------、」

 

「"強制排出"の事か?」

 

「ああ、いくらお前のパソコンが

 

 量子コンピュータだとしても、

 

  そう易々と、神をこの空間から

 

  追い出す事は出来ないと思うが...」

 

「------フッ」

 

「・・・・」

 

ウィルの言葉に、川越が

 

シェブディシャルな笑顔を浮かべる

 

「それも、全て"越数学"の技術を

 

 使いこなす事ができれば

 

  可能になってくる...」

 

「越数学...」