「血の家」 七十四雫
「だ、誰だ!」
"バッ"
突然、部屋の扉が開いたことに、
部屋の中の全員が身構える
「---------、」
"コッ コッ コッ コッ....
「だ、誰だっ」
「・・・・・」
サングラスをした男は、部屋の外から
窓の光が差す部屋の中へ、
静かに、そしてゆっくりと歩いてくる
「(あ、あれは-------!)」
「皆さま、"お迎え"に上がりました-------」
「・・・・!」
スーツを着た男が、サングラスを外す
「------近藤ッ!?」
「すでに、葬儀の時間まで
あとわずかしかございません-------」
「な、何でお前が!?」
「早々に、ここから
お発ちなって頂かないと...」
「・・・・!」
「-------っ」
「!」
「!!!」
部屋の中の全員が驚きを浮かべる中、
まるで表情を変えず、その場で立ち尽くしている
征四郎の元に近藤が歩み寄ってくる
「征四郎さま-------...」
「やっぱり、アンタだったのか------」
征四郎は、近藤の白革の手袋の上に握られている
サングラスに目を向ける
「お分かりになられていましたか-----」
「・・・?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「なあ、征四郎くんっ」
"ザッ ザッ ザッ ザッ....
近藤の後に従い、征佐の屋敷を歩いて行く途中で
善波が隣にいた征四郎に話し掛ける
「まさか、近藤がサングラスの男だとは...」
「・・・・」
「・・・気付いてたのか?」
自分の言葉にまるで表情を崩さない征四郎を見て、
善波が促す様な表情を見せる
「-----今までの、あの男は
何度も俺達の前に
姿を現していた------、」
"コッ コッ コッ コッ...."
「そして、何故かいつも都合のいい時に
俺たちに届けられる封筒------、」
「ま、まあ、そう言えばそうだが...」
"コッ コッ コッ コッ"
「そして、最後は近藤の手から
まるで、今回の事が始めから分かっていた様に
"雅 尤光 鳰部"の文字が書かれた手紙が
俺達の元に届けられた....」
「確かに、そうなるとサングラスの男が
近藤だってのも、頷ける話かも知れんな...」
「さあ、こちらへ-------」
近藤は、屋敷の入り口を開け、
外にある車の方へ全員を案内する-----