「血の家」 五十五雫
「せ、征四郎くんが、
尚佐御大の息子だと!?」
「尚佐御大が、鴇与家!?」
「(--------、)」
「ああ、どうやら、
神代の集落で聞いた話が本当だとすると、
どうやら、その様なんだが...」
「・・・・」
「------!」
自分達の向かい側のソファーに座っている
善波、そして、征四郎の言葉を聞いて
総司、そして禎三が驚いた表情を浮かべる
「じゃ、じゃあ、次の、
"御代"
は、征四郎くん------...」
禎三が食い入る様に征四郎を見る
「き、君って事なのか....?」
「・・・・」
征四郎は、左手の人差し指で
こめかみの辺りをかく
「-----分からない。」
「わ、分からない?」
禎三が、色を失くした様に
征四郎を無表情で見る
「あくまで、この話は
神代の集落------、
鷺代の家の当主が言ってた話------、」
「じゃ、じゃあ、事実じゃないかも
知れないのか?」
「-----これを見てくれ」
「-----?」
善波は、自分の前のテーブルの隅に置かれていた
一枚の写真を手に取る
「・・・?」
そして、それを禎三に手渡すが、
禎三は、ただ、写真を見ている
「------こいつが、何なんだ?」
「そっちの右側の男------、」
「・・・・」
「右側に写っている男は
ウチの親父、"尚佐"だ」
「・・・・!」
「大分古い写真だから
気付かんかもしれんが、
どう見ても、それはウチの親父だ」
「っ・・・!」
「だ、だが、コイツが何なんだ?」
総司は慌てた素振りを見せているが、
征四郎は静かに、総司に向かって口を開く
「この写真は、神代の集落の外れ、
ダムが建つ予定で捨てられた
村の中の民家にあった------」
「そ、それが、どうしたんだ?」
「征次は、この村の存在を
俺達から隠していた...
そして、俺たちが鷺代の家で征次に
この写真を突きつけて問い詰めたら、
征次は、その、ダムの村の事について
語り出した-------」
「・・・・!」
"パサッ"
禎三が手に持っていた写真をテーブルの上に落とし
何か唸(うな)り声の様なものを上げながら
座っていたソファーで大きくのけ反る
「(・・・・?)」
「その、ダムの村は、
鴇与家である、尚佐が生まれた場所-----、
そして、尚佐は叶生野の名前を名乗り、
いつの間にかこの叶生野の
御代になっていた...」
「ちょっと待てよ?」
「・・・・?」
総司が禎三が自分の前に落とした
写真に目を向ける
「この写真の左側の男」
「・・・・」
「こいつ....」
「何だ、 知ってるのか?」
「・・・・!」
"ググッ"
総司が、写真を力を込めて握りしめる
「この男、
守之介の祖父さんじゃないか...?」
「守之介?
お前の祖父さんのかっ!?」
「--------、
ま、間違いない...!」