「血の家」 五十三雫
"ガチャンッ!"
「あ、明人------」
「ブロロロロロロロロロロ....」
明人を乗せた黒塗りの車が、
鷺代の家を唸る様なアクセル音を響かせ
外へと飛び出していく!
「な、何なんだ、アイツは...」
「-----善波さん」
「-----どうした?」
「車....」
「車? 車がどうかしたのか?」
"スッ"
「"パンク"か・・・?」
「どうやら、明人がやったみたいだな...」
"シュウウウウウウウウウ-------"
「あ、明人が?」
「-----多分、この感じだと、
今まで俺たちの車に何か細工をしてたのも、
明人-----、いや、多分尤光や正之も
関わってると思うが-----...」
"シュウウウウウウウウウ...."
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「一体、何がどうなってるって言うんだ...」
「・・・・」
鷺代の家で、征次から話を聞いた後、
善波と征四郎は征次から車を借り、
叶生野の屋敷へと引き返していた
「なあ、征四郎くん?」
「-----何だ? 善波さん?」
何故か、畏(かしこ)まった態度で
自分に話し掛けてくる善波に、
征四郎は難しい顔を浮かべる
「本当に、征次が言ってる話が
本当だとしたら...」
「-------...」
「君は、ウチの親父の息子で
更に、次の御代は
君になる予定だった------」
「・・・・」
征四郎が目を細める
「さらに、征次はウチの尚佐の親父が
"鴇与家"だと言ってたな...」
「・・・・」
「どういう事なんだ?」
「・・・・・」
思わず征四郎は
窓の外の景色に目を向ける
「雅は、この事を知ってたのか?」
「(雅は-------)」
"分からない"
「それに、明人------...」
「(俺が、"御代"------、
尚佐が、"鴇与"------...、
俺が、尚佐の、"息子"------?)」
「・・・簡単には信じられんかもしれんが、
征次の話だと、どうやら
その様な事になるみたいだな」
「とりあえず------」
押し黙っていた征四郎が口を開く
「あまりにも話が急すぎて、
よく、事実が何なのか分からない...」
「-----そうかも知れん」
「征次の話が本当かどうか、一旦
家に連絡を取ってみた方が
いいかも知れないな-----、」
「ああ、そうしろ。」